信州理研ロゴ
 
トップページ > 更埴支部> 活動報告 
 
活動報告
更埴活動報告 >> 記事詳細

2016/08/10

H28年度 夏期研修会~更埴地方の地層の特徴~

Tweet ThisSend to Facebook | by 更埴支部

平成28年度 更埴理科教育研究会 夏期研修会~更埴地方の地層の特徴~活動報告
~概要~現在は陸地であり、標高の高い山になっているが、この千曲市もかつては海だった。その当時に、海底の火山活動により、ローム層ができたり、流紋岩・安山岩の地層ができたりした。その当時の様子を知る路頭は、道路の崩落防止のため、コンクリートで表面を固められてしまっている箇所も多くあるが、直接見ることのできる場所もある。講師の八幡小学校の若林一成校長先生に案内していただきながら、貴重な路頭を観察した。

平成28年7月29日

「千曲市 冠着山周辺 聖湖 古峠 鳥居平」

・ローム層の観察

・流紋岩、安山岩の路頭観察

以下は路頭の観察した場所の特徴。

(1)聖湖東 ローム層


更埴地方の火山灰は、森地域の宮坂峠は古期ロームで約30~60万年前と古く、冠着山周辺は新しく焼く0万年前以降の新期ロームである。大町方面に向かって厚く堆積していることから、立山火山からの噴出物であり、黒雲母・長石・輝石・ガラス類が含まれている。

(2)聖湖南東 凝灰角礫岩


一本松峠から鳥居平までの道路沿いの路頭で見られる。冠着山周辺では一番新しい第三紀層になる。長楽寺の姥石、雌石もこの凝灰角礫岩と同じもので、土石流で運ばれた説と、姥石は地下からの貫入による安山岩の岩体の路頭ではないかという説がある。

(3)一本松峠 東 凝灰角礫岩


凝灰角礫岩でも砂岩、泥岩を含んでいたり、硬質であったりして、様相は違っている。塩野入忠雄氏は、安山岩質凝灰岩としている。約600~700万年前の海退期の最後の海の海底堆積物である。

(4)古峠 高原状平坦面と侵食

海抜1000mほどには、千曲高原(ゴルフ場)、坊城平(更科)、鳥居平(上山田)、大黒平(上山田)、和平(坂城町)がある。

これらを繋げて、西に延長すると大町市東の大峰に平坦面を想像でき、これが第四紀初期に形成された「大峰面(隆起基準面)」で、侵食により深く削られていった。前日の高原状平坦面は、侵食断片で残ったものであり、冠着山は大峰面上に侵食し、残された安山岩の残丘である。

(5)古峠 東 安山岩


羽尾地区に抜ける林道は、崩落箇所があり車では直接行けないため、歩いていった。途中アサギマダラやマタタビの実、ツユクサなどの動植物を見ることが出来た。路頭はやや緑がかった安山岩で、地下からの貫入による岩脈である。冠着山も安山岩からできている。

(6)鳥居平 西 熱変質の凝灰角礫岩


全体的に白っぽく、崩れやすくなっている。冠着山形成による、安山岩質マグマによる熱変質を受けた。

~参加した感想~

今は山(冠着山)になっているが、その昔は海であり、それが隆起して標高の高い所に平らな面があったが、侵食され残った部分は山になり現在の地形になっているという時の雄大さに驚いた。火山灰の堆積によるローム層の堆積の厚さも数mもあり、当時の火山活動の激しさが想像できた。何気なく、通っている山道だったが、路頭に着目していくことで、この地域の歴史や成り立ちがわかり、とても勉強になった。


 

 

 

 

 




14:21 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0)